開催にあたって

第17回日本ポイントオブケア超音波学会学術集会
大会長 太田 智行
国際医療福祉大学病院 放射線医学 病院准教授

 本学会学術集会は、救急集中医療、総合医療、麻酔科・ペイン、整形外科、内科・外科、小児診療、様々な看護領域、助産師、訪問診療など様々な分野で超音波検査を実施している専門家が一堂に会し侃々諤々大いに議論する場です。日頃、診療に超音波を利用している方であれば、きっと何かを得られる機会となるはずです。

 ポイントオブケア超音波は、誰でも容易に習得でき、所見があるのか、ないかの判断で済むような単純な評価が中心で,検査時間も短時間で済むようなプロトコールの開発を介して普及した検査形態・検査概念です。検査のできる医師を増やし、安価で効率よく早期に病態を把握し、迅速介入を可能とすることを目的として開発、普及された経緯があります。匠の技、エキスパートが尊敬、尊重されてきた従来日本の超音波界隈とは異なり、検査者実施のハードルを下げるような仕組みがあちこちに盛り込まれているのが特徴です。

 第17回日本ポイントオブケア超音波学会学術集会では“総合画像診断のススメ”をテーマとしました。現在、日本の医療、特に救急医療では病態評価をCT検査に大きく依存しており、多くの病院でポイントオブケア超音波を理解されている方は少数で、理解されていない多数派の方との間に、大きな溝ができてしまったと考えています。救急医療が鎖で表現されることがありますが、例外を除き、日本ではこの鎖が超音波の所で切れているのではないかと危惧しています。放射線科医は画像診断のスペシャリストですが、超音波画像を理解している医師が少ないが故に、過剰な高額検査を繰り返し推奨する、妊婦や小児に対して不要な被曝を誘導する、我々の問題でないと匙を投げ、患者の責任とする(例:除細動器が入っているならMRIはできません、その後の事はわかりません、超音波検査に関しては言及せず)などの事象は日常的です。そこで、本学術集会ではその切れた鎖を繋ぎ直すことを目標としました。複数の企画で画像診断医と臨床医との白熱した議論が生まれ、相互理解が深まり、事象の本質が明らかになることを期待しています。

 また、早期病態把握を目標とするなら、なるべく多くの有資格者にポイントオブケア超音波を担ってもらうのが得策です。これは本来ポイントオブケア超音波の特徴である検査者を効果的に増やすという目標に合致します。日本では、検査室の主役は臨床検査技師や診療放射線技師ですので、病棟での担い手として看護師をあてにするのは自然です。看護師は患者に一番近い医療全般のスペシャリストであり、法的に技師と同列で超音波検査が可能ですので、今後この分野での本格参入が期待されます。学術集会二日目には看護系企画を集中させていますので、看護師資格を有する皆様にご参加頂ければ、多くの気づきに出会えると考えています。

 真夏、それも一番暑い時期に行われる学術集会ですので、カジュアルな身なりでの来場、参加を歓迎いたします。学術集会では、日頃の疑問を是非会場でぶつけてみてください。それがこだまとなって、日本中あちらこちらに伝達していくかもれるかもしれませんし、あちこちから様々な意見が帰ってくるかもしれません。ハンズオンセミナーに参加すれば、日ごろの疑問が全て解決するようなことも大いにあり得ます。多くの医療者が、ポイントオブケア超音波のうねりに加われば、日本の医療に好循環の力を与えていけるような状況になると期待しています。皆様がそのうねりに加わりたいと思えるような有意義な学術集会にすべく鋭意準備を進めています。