Q&A −2019年エコー淡路 質問と回答

2019年11月30日-12月1日開催 ECHO AWAJI CV IMAGING 2019 当日会場にてお受けした質問と回答です。

心エコー領域 

質問

肺高血圧
透析クリニックで透析の患者さんの心エコーを行っています。透析前後で変化があると思いますが、TRからの右室収縮期圧が40mmHg超える方もいらっしゃいます。”肺高血圧 疑い”と記載してよいのでしょうか?透析前だと体重の増えの影響もあるのか、体液の影響か、肺の問題かの鑑別方法はありますか?もし肺高血圧が疑われる場合、腎内の先生にわかりやすく説明するとしたらどのように記載したらいいでしょうか。

回答

TRからの右室収縮期圧が40mmHg超える場合、右室流出路や肺動脈弁周囲に狭窄病変による通過血流速度亢進がなければ”肺高血圧 疑い”と記載してよいでしょう。肺動脈収縮期圧上昇に左房圧上昇を伴っていれば左心不全による影響が強いでしょう。左房圧上昇を疑う所見がないのに肺動脈収縮期圧が上昇していれば、それは肺疾患などによるpre-capillary PH(前毛細血管肺高血圧)と思われます。(和田靖明先生)

質問

肺動脈収縮期圧について
右室機能が低下している場合、三尖弁が離開している場合などTRPGを用いて肺動脈収縮期圧を評価できないと思うのですがレポートにはどのように書けばいいのでしょうか。

回答


肺動脈収縮気圧を評価できない理由を記載してください。(和田靖明先生)

質問

QP/QS計測
PDA症例のとき、体血流をRVOT、肺血流をLVOTで計測しますか?それともいつもどおり計測してQP/QSが1以下とするのでしょうか。また、有意な弁逆流があるとき、値に影響があるか、Afの時に計測すべきかも教えていただきたいです。

回答


肺体血流比の推定は、(1)肺血流量は左室流出路からの心拍出量、(2)体血流量は右室流出路からの心拍出量、を用いることで推定できます。ただし、心内短絡を伴う場合には使用できません。PDAの手術適応は、左室容量負荷や肺高血圧の程度、心雑音、等で判断されるのであくまでも参考と考えて下さい。特に成人例では流出路径の計測が容易でなく、正確な値を知ることは容易ではありません。(杜 徳尚先生)

質問

PRによる平均肺動脈圧推定
PR(肺動脈弁逆流)のドプラ波形から、平均肺動脈圧を推定する場合、4×PR最大速度2+右房圧 という式で求める場合と、右房圧は加算しない求め方があると思いますが、勉強会などでは前者の求め方しかみたことがありません。当院は後者の計算で求めているのですが、それは一般的ではないのでしょうか?

回答

PRのドプラ波形による平均肺動脈圧の推定について最初に報告された論文では右房圧を加算しない式で報告されています。したがって、貴院で行われている計算式が正しいと思います。TRやPRを用いた肺動脈圧(収縮期圧、拡張末期圧)の推定式(右房圧を加算)と混同して広まったものと思われます。(和田靖明先生)

質問

左房圧の推定
ASEガイドラインで左房圧を考えるとき、PAS>35mmHgの基準があります。PASの数値は推定右房圧を加えた数値でしょうか。

回答


推定右房圧を加えた数値です。(和田靖明先生)

質問

拡張機能評価
sepe'、lute'、LAUI、TR velocityで評価すると評価不能が多く見られます。評価Pointを教えてください。

回答

ASEガイドライン図8Aについての質問だと思います。ここで重要なことは、左室拡張障害を評価することではなく、正常拡張能症例を除外することです。器質的心疾患や心疾患リスク因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)がない症例以外は、図8Bを用いて左房圧評価を行って良いと考えます。(和田靖明先生)

質問

肺高血について
肺高血圧症疑いで心エコーでTRPGを測定しますが、平均肺動脈圧は一部ペーパーで見ることはありますが、最近心エコー等の雑誌を含め、あまり書いてありません。肺高血圧症で心カテで20mmHg(平均)以上で診断となるが、なぜ心エコーで進んでないのか?私の病院ではTRとPRから平均肺動脈圧も求めています。

回答

肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)で、「心エコー検査だけで肺高血圧症の確定診断を下すことはできない。肺高血圧症の診断を確定し、その後の治療を考慮するのであれば右心カテーテル検査が必須である。」と記載されている影響が大きいのではないでしょうか。(和田靖明先生)

質問

HCMの乳頭筋位置異常@
HCMのSAMを引き起こす原因として乳頭筋の付着位置が前方へ偏位しているとききますが、客観的指標はあるのでしょうか?確認断面はどこを用いれば良いでしょうか。

回答

図のように、傍胸骨左室長軸断面で観察します。確立された客観的な計測値はないと思います。(図)Circulation. 1995 Feb 15;91(4):1189-95.
(山田博胤先生)


※画像クリックで拡大します
質問

HCMの乳頭筋位置異常A
S字中隔に限局的な中隔基部肥厚を合併したときにも加速血流が見られますが、この場合はHCMとは異なった成因(後壁側からの血流におされてるのではなく)によっておこるのでしょうか?

回答

S字状中隔の心室中隔基部肥厚によるSAMと、HOCMで見られるSAMの成因については、ほぼ同じと考えられます。(山田博胤先生)

血管エコー領域

質問

浅側頭動脈炎
リウマチ性多発筋痛症の疑いで浅側頭動脈エコーがでます。血管周囲ハローが特徴とされていますが、一箇所でも所見があれば疑いとしていいのでしょうか。拡張や蛇行も所見の一つでしょうか。

回答

巨細胞性動脈炎の診断目的で側頭動脈エコーを行う場合、第一に浅側頭動脈にhalo signを認めるかどうかを確認します。基本的に巨細胞性動脈炎は不連続的に病変を認めることも多いので、一カ所でも所見があれば有意ととります、同時に、拡張や蛇行も巨細胞性動脈炎を疑う所見です。(濱口浩敏先生)

質問

下肢静脈エコーについて
下肢静脈エコーでCFV〜SFT〜FV付近で壁在血栓なのか、静脈肥厚か判断が迷うことがあります。アドバイスをお願いします。

回答

まず参考所見として、年齢や既往歴の聴取と対側の同部位や他の静脈を確認することが重要だと思います。超音波所見では壁の性状や輝度、範囲や形状を観察し、深部静脈弁不全の有無を確認します。慢性期血栓像であれば、弁が器質化し弁不全を伴っている可能性もあります。しかしながら、壁肥厚と壁在血栓を正確に判断することは、現時点での超音波検査の限界かもしれません。したがって、迷った時にはエコーで見えたままの観察所見を記載することをお勧めします。(山本哲也先生)

質問

ASO
CFA、SFAなど完全閉塞している症例をみますが、プラーク+血栓と考えていいのでしょうか。

回答

動脈閉塞には@プラークの伸展による狭窄の進行により、血流腔の狭小化が生じ、血流の停滞⇒血栓形成、A飛来した血栓等の塞栓による血流停止などがあります。何れの場合においても、血流の低下により血栓形成が生じるので、血管の閉塞には血栓が関与することになります。(久保田義則先生)

質問

推定狭窄率
内頚動脈のNASCET推定狭窄率を「125または130」と「200または230」としていますが、またはの意味を教えてください。

回答

標準的評価法を作成する際に、様々な文献をもとに数値を決定しています。その際、PSVが125cm/sでNASCET法50%という論文と、130cm/sでNASCET法50%という論文が多いため、「または」ということで記載しています。「200または230」も同様の理由です。このことは曖昧に見えるかもしれませんが、どの論文を根拠とするかで変わりますので、並列で記載しています。なお、現行の標準的評価法ではどちらの数値を使用しても間違いではありませんので、各施設で決定していただいてよいと思います。(濱口浩敏先生)

質問

頸動脈拡張期波形について
AS severe. AR mild-moderateの人の頸動脈でCCA、ICV、VA両側拡張期波形の消失〜高度低下を認めました。ATの延長なし。何が考えられますか?

回答

ARの場合、頸動脈の血流波形においても少なからず影響を受けますので、逆流の要素が入ります。そのため、程度により拡張期は低下、消失、逆流などのパターンを呈することが知られています。なお、ASの場合は近位部狭窄の波形パターンになるため、Acceleration timeが延長することが多いです。今回の症例は両側とも同様の波形パターンですので、ARの影響を第一に考えます。もし波形パターンが左右で違ったのであれば、内頸動脈遠位部および脳底動脈の狭窄も想定することになります。なおその場合は総頸動脈から内頸動脈起始部にも動脈硬化性病変を認めることが多いです。(濱口浩敏先生)

その他エコー領域

質問

神経エコー検査の報告書について
現在、神経伝導検査を施行しています。先生からの要望で神経のエコー検査をして欲しいと言われました。主に手根幹症候群のエコー検査での合致を希望されています。 手首のエリアと肘部のエリアを計測し、腫大かどうかを判断してほしいと言われています。報告書の書き方としてはどのようにしたら良いでしょうか。

回答

手根管症候群の診断にはwrist-to-foarem ratio(WFR)という基準があります。その患者さんの手首の断面積を同側の前腕での断面積で割ります。その比が1.5以上で手根管症候群と診断できます。ただし、他の部位での神経断面積の腫大がないということが条件です。報告書には、手首、前腕の断面積、WFRを記入し1.5以上あるため手根管症候群を疑うと書くといいと思います。(高松直子先生)

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