全国CVTの会

ご挨拶

背景
わが国では、人口の高齢化と生活習慣病の増加に伴い、血管疾患に関心が高まっています。生活習慣病は、全身の動脈に動脈硬化をきたし、脳血管障害、心筋梗塞、腎不全などの全身の重要臓器に虚血障害を引き起こします。また、生活の質を低下させる下肢静脈瘤を含む静脈炎や、ときに致死的となるエコーノミークラス症候群、すなわち肺血栓塞栓症の原因の9割以上は下肢深部静脈血栓症であるとされています。一方、わが国死因の第一位であるがんにおいては、がん治療のリンパ節郭清に伴う続発性リンパ浮腫に対して、弾性着衣や弾性包帯を用いた圧迫療法が保険適応になったことに加え、退院指導管理加算が算定されることになって以降、リンパ浮腫に対する関心は高まっています。このような背景の中、血管とリンパ管を含む脈管疾患に対する早期診断と治療のため、これに携わる医師やメディカルスタッフの重要性が増しています。

血管診療とCVTについて
 欧米では専任のメディカルスタッフが全身の血管に関連する検査や診療を一括して行うVascular Laboratory部門(バスキュラーラボ)が確立され、メディカルスタッフと医師が連携し診療しています。わが国では2006年日本血管外科学会、日本脈管学会、日本静脈学会の3学会構成による血管診療技師認定機構が発足し、「コメディカルとして、脈管領域の診療に従事するに必要な専門知識・技術を持った者を専門家として認定する」という主旨のもと、血管診療技師:clinical vascular technologist (CVT)制度が誕生しました。さらに、2014年には日本動脈硬化学会が加わり4学会構成による認定資格となっています。

CVTの会について
 わが国では総合的に血管疾患の早期診断や治療の必要性が広く周知されておらずバスキュラーラボを持つ施設は少ない状況にあります。そんな背景のなか全国CVTの会は発足しました。全国CVTの会は、北海道、東北、関東、中部、関西、中国、九州の各地区の会によって構成され、これらは講習会を定期的に開催し現在もその役割を担っています。全国CVTの会は、CVT資格を有する皆様方に、われわれの技術や知識の共有からなるチーム医療を構築するためにあります。CVTの誇りと患者さまに対する診療支援にメディカルスタッフとして参画することに取り組んで参ります。

全国CVTの会の基本理念
「CVTの利点を活かした社会貢献と、チーム医療構築のための交流と業務意識向上」


どうぞご支援賜りますようご協力をお願いいたします。

2017年6月吉日

全国CVTの会代表幹事
佐藤 洋
小谷敦志